そもそもBitSharesとは何かというと「オールインワン・仮想通貨プラットフォーム」だと思ってください。
BitSharesにはウォレットと取引所の両方が一つのパッケージになっているので、資金管理、資金の送金や受け取りからトレードまで一つのプラットフォーム内で全てが完結すると思ってください。
ビットコインのように、「あなたのモバイル・ウォレットから外部の取引所が指定したビットコインアドレスにビットコインを送信する」などのわずらわしい作業が必要ないということです。
昔々あるところにBTC王国とBTS王国という二つの王国がありました。
この二つの王国はそれぞれの経済圏を持ちながらお互いに急成長していました。
BTC王国ではBTC(Bitcoin)という通貨が法定通貨となっており、全ての経済活動がBitcoinを通して行われていました。
サラリーマンはお給料をBitcoin建てでもらい、自営業の人達は商品やサービスを提供してBitcoinを稼いでいました。BTC王国のトレーダー達はBTS王国の通貨が安い間にBitcoinをBTS王国の通貨に変えておき、BTS王国の通貨が値上がりしたときにBitcoinに換金し、利益を出していたりしました。
Bitcoinをより多く稼いだ者がBTC王国ではお金持ちになっていったのです。
対して、BTS王国ではBTS(BitShares)という通貨が法定通貨として使われていました。
サラリーマンはお給料をBitShares建てでもらい、自営業の人達は商品やサービスを提供してBitSharesを稼いでいました。BTS王国のトレーダー達はBTC王国の通貨が安い間にBitSharesをBitcoinに変えておき、BItcoinが値上がりしたときにBitSharesに換金し、利益を出していたりしました。
BitSharesをより多く稼いだ者がBTS王国ではお金持ちになっていったのです。
ある日事件が起きた!
ある日のこと、BTC王国のトレーダーいつも通りBitcoinをBitSharesに換金しようといつもの仮想通貨取引所にBitcoinを送付したところ、その10分後に取引所のサイトがいきなりアクセス不能になりました。
調べてみると、なんとその取引所のサイトは恒久的に閉鎖してしまったようです。あとから分かったことはその取引所は実は詐欺サイトだったということ。取引所の運営者は今頃リゾート地でバカンスを楽しんでいるということと送付したBitcoinは二度と戻らないことが分かり、BTC王国のトレーダー達はひどく落胆していました。
「私達は今後も詐欺を働くかも知れないサイトでビクビクしながら取引するしか方法がないのか?これはひょっとしたらBTCの限界なのか?」
BTC王国のトレーダー達はこのように考えるまでになりました。
このニュースは瞬く間にBTC王国とBTS王国中に広がり、トップニュースとなりました。
しかし、BTC王国はBTS王国側がえらく落ち着いていることに気づきました。そこでテレビに映るBTS王国のリポーターはこう言いました。
「この問題はBTC王国特有の問題であり、BTS王国では起きることはありません。なぜなら、うちの取引所ではこのような詐欺を働く人はいないからです。」
この発言を聞いたあるBTC王国のトレーダーは、BTS王国のリポーターの発言がどうしても気になったため、BTS王国にいるトレーダー友達に電話で連絡を取り、どういう意味かを聞いてみることにしました。
BTC王国「さっきテレビでリポーターがBTS王国の取引所では詐欺があり得ないと言っていたけど、これって本当なの?」
BTS王国「本当だよ。うちでは、そもそもBitSharesをBitcoinに交換するときに、取引所に送らなくても、最初からウォレット内に無人の取引所が付属しているからね。しかもこの取引所が優れものでBitcoin以外のなんでも取引できるんだ。もちろんBTCも取引できるよ。あ!でも厳密に言えばBTCじゃなくてBitBTCだけどね。ははは。」
BTC王国「無人の取引所?BitBTC?BitBitcoin?Bitが二回続くなんてややこしいなぁ。どういうこと?」
BTS王国「あぁ、無人というのは取引所を管理している団体は不在だという意味だよ。全ての取引はBitSharesネットワークのブロックチェーンと呼ばれている公開帳簿上に記録されるから、人が取引所を運営したり、資金を保管したりする必要がないんだよ。
うちの取引所ではBitSharesを使ってBitAssetといわれる、リアルに存在する金融資産の価格に追随する銘柄を取引することができるんだよ。BitBTCはBTCの価格をフォローして、BitUSDはUSDの価格をフォローして、BitGoldはGoldの価格をフォローするんだよ。まあ、簡単に言えばBitBTCはBTCとほぼ同じ価値を持ったBTCもどきさ。」
BTC王国「じゃ、君がいままでBitSharesをBitcoinに交換して、それをまたBitSharesに戻して利益を出していると言っていたのは、あれはBitcoinに交換していたのではなく、BitBTCに交換していたってこと?」
BTS王国「そういうことだね。まぁ、俺はトレーダーだし、裏の仕組みさえちゃんと機能してくれれば、俺にとってはBTCもBitBTCも同じようなものだからね。ははは。」
BTC王国「なるほどね。でもなぜBitBTCがBTCの価格をフォローできるの?仕組みを教えてよ。」
BTS王国「BitAssetは無から生成されるものではなく、BitSharesの価値によって裏付けされているんだよ。
世の中にBitBTCが発行されるタイミングは誰かがBitBTCをショート(空売り)する注文を発注し、その注文に対して他の誰かが買い注文が出したときなんだよ。
BitBTCを買った人はBitSharesを売ってBitBTCを手にするからそこで終わりなんだけど、BitBTCをショートする人はいつか必ずBitBTCをどこかから買い戻して取引所に返却しなくてはいけないんだ。
取引所でBitBTCを買って返却しても良いし、別のサイトから調達してきてから返却しても良いんだけど、とにかく借りたものはちゃんと取引所に返さなくてはいけないわけ。」
BTC王国「じゃ返却した時点でショートした人と取引所の間の貸借りがチャラになるんだね。それでも、この一連の流れで世の中に対してのBitBTCの供給量が増えたことになるよね。
でもこれってBitBTCを無から生成したことと同じにならない?」
BTS王国「ならないよ。
なぜなら、BitBTCは契約のようなもので、ショートしたトレーダーがブロックチェーンにBitBTCを返却したらその時点でその契約は終了して、BitBTCは消滅するんだよ。
BitBTCの現物(契約)を手元に持っている購入者は売りたいと思ったそのときにBitBTCを買い戻そうとしている別のトレーダーに売ればそこでBitBTCは消滅する。だから別に供給量が無限に増えていくってことはないんだよ。つまり、BitAssetを無尽蔵に刷ることにはならないんだよ。
あとBitBTCをショートするとき、ショートしたいBitBTC量の100パーセントに相当するBitSharesをあらかじめコラテラル(担保)として取引所に預け入れないとショートの注文自体を発注できないという決まりがあるんだ。
それに、買い注文を出した人は買いたいBitBTC量の100パーセントに相当するBitSharesを購入時に取引相手に支払うわけだから、その資金を先ほどの100パーセントと合わせて、合計200パーセント分のBitSharesをコラテラルとして取引所に預け入れる決まりになっているんだよ。
預け入れたコラテラルの金額はブロックチェーン上に刻みこまれるから、偽装もできないし、人が介入することもできない。
コラテラルはショートポジションが完全に決済されるまで人質としてブロックチェーン上で厳重に保管されるから誰かに盗まれることもない。
で、このコラテラルはショートしたトレーダーの損失が肥大してしまったときのための保険として保管されるの。
仮に価格変動が大きくなってトレーダーが大きく負け始めても、ポジションの二倍の資金をトレーダーからデポジットとしてあらかじめ預かっているから、万が一強制的に決済することになっても取引所側はsolvency(支払い能力)を保つことができるだろうという考え方に基づいている。
これがBitAssetがBitSharesの価値によって担保されているという所以だよ。BitAssetの供給量が増えた分だけどこかでBitSharesがコラテラルとして人質になっているから、デフォルトする危険性が少ないんだよ。」
BTC王国「ほぉほぉ。コラテラルの預け入れを自動化した上に資金をブロックチェーンで管理したら、人が介入してズルをすることができない取引所が完成したというわけか。
うちで起きたみたいに資金が盗まれることがないシステムを組んだのは本当に素晴らしい。このシステムがあれば人を信用しなくても成り立つね。」
BTS王国「そういうこと。人を介さないし、誰も中央機関がいないから、うちらはこの取引所をdecentralized exchange(非中央集権型取引所)と呼んでいるんだよ。」
BTC王国「へぇ。うちもdecentralized exchange が必要だなぁ。
ちなみに、具体的にどうなったら取引所はポジションを決済してしまうか教えて。」
BTS王国「基本的にはCall Price(強制決済価格)にヒットしたら決済が強制的に行われる。これをマージンコールって言うんだ。
マージンコールが起きたら強制的に決済が行われ、手数料が掛かるなら費用が引かれ、余った分はトレーダーに返却され、その時点でトレーダーの損益が確定する。
ポイントはショートポジションはいつか必ず決済しないといけないというところかな。
BitBTCを買った人はBitBTCを売る義務はないけど、BitBTCをショートした人はいつか必ず市場から買い戻さないとポジションをクローズできないから、いずれ別の人がショートしたことで新しく生成されたBitBTCを市場価格かそれよりも高い価格で買い戻さなくてはいけなくなるプレッシャーが高まるわけ。
そうするとBitBTCが価格が下がるのを抑止する効果が自然発生するからBitBTCの購入者にとっては良いことなんだよね。」
BTC王国「ありがとう。あと一つ気になったんだけど、Price Feedって書いてある赤い縦線があるけど、これって何?」
BTS王国「うちの取引所ではBuy、Sell、Shortがあるんだけど、価格が思いっきり操作されないように、ShortはこのPrice Feedの線より下の価格では行えないようになっているんだよ。」
BTC王国「待って。SellとShortの差は何?」
BTS王国「Sellは既に持っているBitBTCを売ること。これは現物のように扱えるから、売りたければPrice Feedの線より下で売っても良い。それはトレーダーの自由。
でも、ショートは空売りだから、Price Feedより下では売れないという決まりになっているんだよ。」
BTC王国「なるほど。いろいろ謎が解けたよ。どうもありがとう。それにしてもBTSの取引所ってかなり高機能でびっくり。本当にうらやましくなったよ。」
BTS王国「どういたしまして。また何か質問があったら聞いてね。」
BTC王国「そうするよ。どうもありがとう。またね。」
BTS王国「またね。」
まとめ
これまでストーリー形式で説明してきましたが、まとめるとBitSharesには下記の素晴らしい機能が搭載されているということに集約されます。
・BitSharesネットワークは独自の経済圏を持っていること
・BitSharesでは取引所がdecentralized exchangeとして機能していること
国が違えば経済圏が違うように、BitSharesは独自の経済圏を持っています。ですから、Bitcoinネットワークに万が一のことがあっても、ブロックチェーン自体が独立しているため、巻き添えを食うことはありません。
またウォレット内には人を介さない非中央集権型の取引所が付属していることから、BitSharesの世界ではBitcoinの世界では度々起こる「取引所がある日突然蒸発してしまう」といったカウンターパーティ・リスクを心配する必要がありません。
これらの違いは時間が経てば経つほど大きな違いとなるのではないでしょうか。
BitSharesの問題はマーケティングです。
BitSharesの機能はとても素晴らしいですが、マニュアルや掲示板に書いてあることはとても煩雑です。
だから、多くの人にとって参入障壁が高くなってしまうのです。
でも一度理解してしまえばどうってことありません。
ですから、今後BitSharesなどの素晴らしいコインを多くの人に受け入れてもらうには、多くの人が理解できるような言葉を使ってマーケティングを続けていくしかないのです。
BitSharesをいままで知らなかった人はこれを機にBitSharesを少しだけ買ってみて、実際にBitSharesの世界を体験してみることをおすすめします。