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ネットバンキングの不正送金で得た現金を回収したなどとして、警視庁に逮捕された中国人13人の自宅などから押収された現金や通帳、キャッシュカードなど(警視庁提供)

 インターネットバンキング利用者の口座から不正送金された金を回収したなどとして、組織犯罪処罰法違反容疑などで中国籍の男女13人が逮捕された事件。送金先口座から現金を引き出した「出し子」は中国語チャットを通じて募集していたことが、警視庁や北海道警など10都道県警の合同捜査本部の調べで分かった。  現金は地下銀行で中国に送金。「出し子」から現金を回収した女は首謀者が中国にいることをほのめかしており、同国を拠点にした大規模な犯罪組織が浮かび上がる。昨年以降でも被害は約6億円に上るとみられており、合同捜査本部は実態解明を進めている。  捜査関係者によると、中国人らはネットバンキング利用者から盗んだIDやパスワードを使い、自分たちが管理する口座に不正送金したとみられる。送金先の現金を現金預払機(ATM)から引き出す「出し子」は「QQ」と呼ばれる中国語のチャットソフトで募集していた。  逮捕された「出し子」はいずれも日本に住む中国人留学生で、「生活費が欲しかった」などと供述しているという。1人で約130回、計約6200万円を引き出したケースもあった。報酬は金額の10~30%だったとされる。  「出し子」が使う日本の金融機関のキャッシュカードは、中国・福建省から国際郵便で送られ、カードの受け取りや現金を引き出す段取りはいずれも、「微信」(中国版LINE)で指示を受けていた。  一方、犯罪収益と知りながら「出し子」から現金を回収した容疑で逮捕された林秀美容疑者(42)は「回収した金は地下銀行を通じて中国の社長に送っていた」と話しているという。