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工作員、北へ長期不正輸出 シンガポールに迂回拠点 関係先、先月家宅捜索
北朝鮮工作員の男がシンガポールに設置した偽装企業を迂回(うかい)し、日本から北朝鮮向けの物資を長期間、大量に不正調達していた疑いの強いことが3日、警察当局への取材で分かった。

日本側では在日朝鮮人らが経営する環境設備関係の企業が、食品や衣類など日本製品の調達に協力し、船で積み出していた。対北朝鮮制裁の一環で現在、輸出は原則禁じられており、警察当局は外為法違反(無承認輸出)の疑いで先月19日、東京都内の関係先を家宅捜索するなど捜査している。

日本の経済制裁が日朝にまたがる大規模な組織的不正によって平成21年ごろから長期間、骨抜きにされていた実態が明らかになるのは異例。警察当局はシンガポールに大規模な拠点があるとみて全容解明を急ぐ。

関係者によると、不正輸出に関与していたとみられるのは在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)傘下のスポーツ団体幹部らが経営に関与する企業。幹部はパチンコ店などを経営し、資産家として知られる。

警察当局は同社が26年夏、シンガポール向けを装って食料品など約1500箱、申告額にして約700万円相当の物資を海路で北朝鮮に不正輸出したとみている。物資はシンガポールから中国・大連の北朝鮮企業に再輸出され、北朝鮮・南浦で荷揚げされた。

工作員は20年にシンガポールに飲料類の卸売業を開業。日本政府が北朝鮮向け輸出を禁じた直後の21年8月、別の在日朝鮮人の実業家に対し、シンガポールで通関手続きをするので問題ない-などと持ちかけ、日本国内に調達ルートを開設、拡大していったとみられる。不正輸出された日本製品などは、平壌市内の高級輸入品を外貨で販売する専門店で流通している可能性が高いとみられる。

北朝鮮では日本製の高品質の日用品は政権中枢や党幹部、最近増えた新興富裕層などを中心に需要が高い。特に高価格帯の化粧品や下着、家電製品などは金正恩党委員長が求心力を高めるための下賜品として利用されることがあり、安定調達は工作機関の重要な役割の一つとみられている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170104-00000019-san-soci