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他人のクレジットカード情報を使い購入した商品を空き部屋に配達させ受け取ったとして、警視庁サイバー犯罪対策課は12日、中国籍で東京都台東区西浅草2の留学生、周正文容疑者(25)を窃盗容疑で逮捕したと発表した。中国人向けインターネット掲示板で募った受け取り役を介して入手した商品を転売し、現金化していたとみられる。同課は、中国人グループが商品の購入役など役割を分担して窃盗を繰り返したとみて解明を進める。

 逮捕容疑は昨年12月〜今年1月、不正に入手した他人のクレジットカード情報を使用し、ショッピングサイトで腕時計などを注文。東京都文京区などのアパートの空き部屋に配達させ、受け取ったとしている。同課によると「弁護士が来てから話す」と認否を留保しているという。

 同課は昨年12月、ネット空間の犯罪を監視するサイバーパトロールでネット掲示板に「受け取り役募集」との書き込みを発見。発信元などを捜査し、周容疑者と受け取り役の中国人留学生の少年(19)=窃盗容疑などで逮捕=が事件に関与している疑いを強めた。

 周容疑者は少年に1回7000円の報酬を約束して少なくとも5回、商品を空き部屋で受け取るよう指示。空き部屋の鍵は大半がボタンを押して暗証番号を入力するタイプで、少年は周容疑者から番号を聞いて室内に侵入し、住人のふりをして荷物を受け取ったという。周容疑者は少なくとも昨年12月〜今年3月に同様の窃盗を約60件繰り返し、被害総額は200万円に上るとみられる。カード情報や空き部屋に関する情報は、仲間が何らかの方法で入手したとみられる。【斎川瞳】

不動産業者から解錠番号情報などが漏えいか

 今回の事件のように、空き部屋が不正に購入した商品の受取先にされるだけではなく、オレオレ詐欺など特殊詐欺の現金の受取場所にされるケースも目立つ。犯行グループはなぜ空き部屋に入り込むことができたのか。捜査関係者は「不動産業者から解錠番号などの情報が漏えいしている可能性が高い」と指摘する。

 東京都内の不動産業者によると、アパートやマンションの空室情報は多くの業者間で共有されている。業者は物件を見たいという客に対応するため、事前に鍵の隠し場所や解錠番号を知らされることは珍しくなく、ある業者は「情報を悪用しようと思えばいくらでもできる」と言う。

 賃貸住宅のオーナーらで作る「全国賃貸住宅経営者協会連合会」(東京都)の担当者は「犯行グループが物件を内覧するふりをして、解錠番号などを盗み見るケースも想定できるが、意図的に流出させる悪質業者がいる可能性も否定できない」として大家や宅建業者に注意を呼び掛けている。【斎川瞳】

http://mainichi.jp/articles/20160712/k00/00e/040/200000c