不法滞在者だということを忘れていけない。
不法滞在で強制退去処分を受けた胸腺がん患者の韓国人金貞淑さん(52)=名古屋市=が、日本で治療を続けるため、国を相手に処分取り消しを求めた行政訴訟の控訴審判決が27日、名古屋高裁であった。加藤幸雄裁判長は「文明国として当然、生命に関わる病気の患者には配慮を尽くすべきだ」と述べ、原告敗訴の一審名古屋地裁判決を取り消し、請求を認めた。
加藤裁判長は「新たに韓国で受診すれば、記録の翻訳や再度の検査など負担が大きい」と指摘。「出身地でも治療が受けられる」とする国側の主張を退け、「病院を替わる重い負担を、不法滞在を選んだ自己責任だと判断するのは到底相当ではない」と批判した。
判決によると、1999年に生け花を学ぶために来日した金さんは、2004年の在留期限後も滞在。09年に胸腺がんの手術を受け、美容院で働いていた10年に摘発された。
今年1月の一審判決前にがんが再発し、治療を続けている金さんは、判決後に「韓国にもカルテを送ったが治療は難しいと言われていた。心から感謝しています」と語った。代理人の宮崎真弁護士は「難病の患者に配慮した判決だ」と評価した。
名古屋入国管理局は「今後の対応は上級庁と協議して考える」としている。(2013/06/27-22:02)
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