不法滞在などが発覚して国外退去を求められている外国人を帰国させるための「旅券発給」をイラン、トルコ両大使館が拒否していることが12日、関係者への取材で分かった。旅券が発給されず日本にとどまる外国人は両国で数百人に上るとみられる。外国人には、違法薬物の売買や窃盗など刑事罰の対象になった者も複数含まれる。難民申請するなどして収容を一時的に解かれる「仮放免」となる事例もあり治安上、重大な懸念が指摘されている。
法務省によると、国外退去処分を受けた外国人を送還する手続きには、日本出国のための旅券発給が必要で、法務省が各国の大使館に再発給を要請。大半の大使館が応じているという。
しかし、関係者によると、イラン、トルコ両大使館は「本人の申請意思が必要」などの理由で旅券発給を拒否。このため、処分を受けた2カ国出身の数百人が送還できない状態になっている。この中には、覚醒剤など違法薬物の売買や窃盗事件に関わったとして1年以上の懲役刑などを科された者も含まれるという。
退去処分を受けた外国人は、各地の入管施設内にある収容施設に収容される。しかし、収容された外国人は、難民申請の手続きや処分取り消しを求めて訴訟を起こすなどして、収容を一時期に解く「仮放免」を受けることができる。
法務省関係者は「国外退去を求められている外国人の中には、仮放免制度を悪用し日本にとどまろうとする者もいる。犯罪に手を染める者も少なくない。そうした外国人が、相手国の協力を得られずに滞留し続けると治安面に重大な懸念が生じる」としている。
イラン大使館は産経新聞の取材に旅券の発給拒否を認め「憲法とその他の関連法に基づき、居住地の変更を強制することはできない」と説明。トルコ大使館は期限までに回答がなかった。
2カ国の対応について法務省幹部は「『日本にとどまりたい』という意思を尊重するのが自国民の保護につながるという認識があるのかもしれない。ただ、そうした解釈は国際慣習として到底受け入れられるものではない」としている。
http://www.sankei.com/affairs/news/170713/afr1707130005-n1.html
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