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大阪 堺市の自宅で去年8月、妻と3歳の娘を殺害したとして、ブラジル国内で先月逮捕されたブラジル国籍の夫について、現地の検察当局は殺人の罪で起訴したと、15日発表しました。

起訴されたのは、ブラジル国籍のバルボサ・アンデルソン・ロブソン被告(34)です。

ブラジルの検察によりますと、バルボサ被告は去年8月、大阪 堺市の自宅で、妻の荒牧愛美さん(当時29)と長女のリリィちゃん(当時3)を刃物で刺して殺害したとして殺人の罪に問われています。

事件のあとブラジルに向けて出国し、日本とブラジルとの間に身柄の引き渡し条約がないことなどから、日本政府がブラジルの国内法で処罰する「代理処罰」を行うようブラジル側に要請しました。

ブラジルの連邦警察は日本の警察から送られた証拠などをもとに捜査を進め、先月14日サンパウロ市内で逮捕していました。

動機についてブラジルの検察は「被告からの暴力行為で妻が関係を終わらせようとしたため、被告は9年以上生活した日本に滞在するためのビザを失うことを恐れた」などと指摘しています。

被告の起訴内容について

日本から提供された捜査情報をもとにブラジルの検察当局が起訴に合わせて15日公表した資料によりますと、バルボサ被告は事件当日、朝食の際、長女の目の前で妻を複数回、刃物で刺して殺害したということです。

資料では、犯行の動機について、家庭内暴力によって妻が離婚を望んでいたものの、被告が離婚によって日本に滞在するためのビザを失うことをおそれたためだと指摘しています。

また、被告は直後に長女も複数回、刃物で刺して殺害したとしています。

長女を殺害したのは日本を離れてブラジルで身を隠し、罪を逃れるためだったとしています。

被告は犯行後、自宅を施錠し、逃亡するための時間を稼ぐ目的で、妻の携帯電話から本人を装って妻の母親に対し「アパートに来ないで」とのメッセージを送っていたということです。

そしてその2日後、成田空港からブラジル行きの航空便に搭乗したとしています。

一方、被告の弁護士はNHKの取材に対し「起訴の内容に関する件は裁判の中で明らかにする」としています。

被告が逮捕当時に住んでいた集合住宅では

バルボサ被告は先月14日に逮捕された当時、ブラジル・サンパウロの中心部にある集合住宅で生活していました。

この住宅の警備員によりますと、3か月ほど前に別の地区から引っ越してきたということで「きちんとあいさつをして礼儀正しかった。攻撃的な態度をとったことはない」などと話していました。

また、この集合住宅で被告と1か月ほど前から同居していたという女性は「日本で起きたことは何も聞いていない」と話していました。

一方、被告と面識があったという男性は「ふだんは落ち着いた様子だったが、夜になると精神が不安定になりよく泣いていた」などと当時の様子を振り返っていました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230816/k10014164291000.html